アルペ小金井センターの閉鎖について

 2023年4月から東京都小金井市で試行してきたアルペ小金井センターの存続が困難となり、9月末を持って閉鎖しましたことをお知らせします。

 カトリック女子修道会「聖霊会」のご協力のもとで、新たな試みとして2つ目のシェルターを開設し、1年3か月の間に難民申請中の5カ国7名の女性と子どもを受け入れ、衣医食住・定住支援を提供してきました。

 聖霊会の皆様、大勢のボランティア、支援者、地域の皆様のご協力ご支援をいただき、共同生活を営みながら、それぞれに成長し、沢山の喜びがありました。

 入居していた5人はすでに自立し、新しい場で生活しながら、今でも支え合っています。

 残りの2名はスタッフと共に神奈川県鎌倉市にあるアルペなんみんセンターに転居し、引き続き日本での自立に向けた歩みを続けています。

 諸事情により短期間で閉鎖することとなりましたが、聖霊会をはじめ、応援してくださった皆様に心より感謝申し上げます。

2024年10月19日

NPO法人アルペなんみんセンター 
 事務局長     有川 憲治
 小金井センター長 松浦 由佳子

アルペ小金井センターのあゆみ

アルペ小金井センター開所  新たな試みがスタートしました!
アルペ通信No.6(2023年7月発行)

 鎌倉での始動から3年たった今年、アルペなんみんセンターは2つ目のシェルターの開設を念頭に、カトリック修道会「聖霊会」と連携し、小金井聖霊修道院で活動をスタートしました。2023年4月から1年をかけ、新しい協働の形を模索していきます。

 3月末にはスタッフ松浦がミャンマーのSさんと子ども2人と一緒に鎌倉から小金井に移り、聖霊会のシスターと共同生活がスタートしています。まだ少人数とはいえ、やることは沢山あります。日本語学習、子どもケア、食事づくり、買い出し、広い庭の整備など、小金井でもさっそくボランティアさんに助けていただいています。

 難民認定を受け、ビザがあり就労資格のあるSさんは、近隣の高齢者施設に迎えていただき、4月から働きだしました。初めての日本での就職、小学校入学、新しい保育園など、Sさん母子にとり、この2か月は新しい経験の連続でした。まるでさなぎが蝶になり、羽ばたきだすような躍動感で、色々とチャレンジしています。

 ビザがあれば定住支援が短期間でここまで実現できる手ごたえを得た一方で、ビザがなく八方ふさがりの仮放免の入居者たちの顔が迫ってきます。羽ばたく機会を奪う酷い現状を何とかしたいです。小金井でも鎌倉と同様に、地域のみなさんとふれあい、一緒に考え、活動していく予定です。ご支援、よろしくお願いいたします。    

アルペ小金井センター長   松浦 由佳子


アルペ小金井センター報告 アルペ通信No.7(2023年12月発行)

 小金井で活動を開始し、早くも8ヶ月がたちました。鎌倉から小金井に移ったSさんと子どもたちに加え、東アジア出身のJさん、アフリカから到着したばかりのBさんを迎え、聖霊会のシスター2人を合わせて8人の所帯となりました(2023年12月現在)。一人ひとり持ち味を生かした私たち家族に、日本語学習、料理や買い出し、子ども支援、庭掃除などのボランティアさんが加わって、豊かなふれあいの場になっています。。

 来日して1年を迎えたSさん家族は、驚くほど日本語が上達し、それぞれの世界が広がり始めています。小金井での暮らしが順調な一方で、祖国の情勢は悪化するばかり。故郷の少数民族の村が襲撃され、Sさんの両親は別の山に逃げ、1か月近く連絡が途絶えました。気丈にしていたSさんですが、ようやくお母さんと連絡がとれた夜、肩を震わせ、安堵の涙を流し続ける姿に、家族と別れ、難民とならざるを得なかった痛みが伝わってきました。村では物価が高騰し、食料も医薬品も手に入らない状況が続いています。彼女が現地に送金した1万円で、4家族の1週間分の食料を買えたと、お母さんからお礼と写真が届きました。弾圧され続けるSさんの祖国の人々のため、治安と平和の回復のために、私たちに何ができるか考えさせられています。

アルペ小金井センター センター長 松浦 由佳子


アルペ小金井センター報告 アルペ通信No.8(2024年7月発行)

 無事に1周年を迎えた小金井シェルターでは、5月末に7人目となる入居者を迎えました。双子を宿したハイリスク妊婦さんのため、緊急時に対応ができるようスタッフ体制が充実した鎌倉に他の入居者とともに移り、小金井シェルターを一時的に閉鎖することになりました。

 この間、多く方々と出会い、また沢山のボランティアさんやシスター方と一緒に、入居者とふれあい、生活を共にしてきました。すでに自立した5人も折々に顔を見せ、SNSのグループメッセージで近況を伝えあう「ファミリー」の関係が続いています。それぞれ深い痛みや困難な状況を抱えているにも関わらず、たくましく、時にぶつかり合いながらも、ありのままの姿で生きる彼女達に、自分らしく生きる術を教えられ、同時に根気も養われています。こんな小さな現場の営みに目を止め、お話を聞きたいと言っていただける機会も増えて、Refugee Welcomeな地域が広がる予感がします。

アルペ小金井センター センター長 松浦 由佳子