鎌倉在住のウクライナ女性からご両親の呼び寄せの相談をいただいたのが4月7日。その後、ポーランドでウクライナへの人道支援を行っているアルペの友人・吉田祐美さん、現地に修道院を持つ修道会「聖霊会」の協力を得て、翌週4月16日に無事お二人をお迎えしました。移動、宿、ビザ、入国支援等々、連携プレーで実現したスピード来日でした。
来日の翌朝、バルコニーにアルペを囲む緑を見渡し、涙を流すナタリアさんの姿がありました。故郷の森、失った友を思い、言葉にならない悲しみと呻きが溢れていました。その夕方、雨上がりの空に大きな二重の虹がかかりました。傷ついた魂、荒んだ心を癒やし、分断された地に希望を注ぐような虹でした。
アレクセイさん、ナタリアさんは在留資格を取得し、鎌倉市民としての生活が始まっています。アルペでの暮らしにもすっかり慣れ、日本語学習も始まりました。ナタリアさんはウクライナで料理人として磨きあげた腕をふるい、ボルシチやピロシキ、ブリンチキ(クレープ)などを振る舞ってくださることもあり、身振り手振りも交えたコミュニケーションや翻訳アプリも活用しながらの共同生活を送っています。
今回のウクライナ支援をつうじて、初めてアルペを知り、仲間に加わってくださった方々の輪も広がり、私たちは大きな励ましをいただいています。しかしその一方で、長期にわたり在留資格の取得を待ち続け、その間、働けず、移動の自由も制限され、健康保険にも加入できずにいるアジア、アフリカ出身の入居者の心情を思うと、とても複雑です。ウクライナ避難民と同じ処遇が、その他の地域から逃れてきた難民・避難民にも適用され、すべての人が尊厳をもって歩んでいけるよう強く願っています。希望の虹がすべての人に届きますように!
■ 鎌倉の「シェルター」ウクライナ避難民受け入れ 2022/5/5 神奈川新聞
【参考】ウクライナ避難民と難民 に関する報道
- ウクライナ避難民/難民政策 見直しが必要だ 2022/3/19 河北新報(社説)
- ウクライナから逃れた人々は“避難民” 日本が「難民」と呼ばない背景 2022/4/11 TBS
- “ウクライナ以外の避難者にも同様の支援を”難民支援の専門家 2022/04/22 NHK
- ウクライナ人限定なのか 難民支援が新たな差別を生んではならない 2022/5/17 毎日新聞
- ウクライナ避難民受け入れの陰で続く「鎖国」状態 難民考える機会に 2022/5/20 朝日新聞